異形成に関するQ&A

Q

異形成とは、何ですか?

A

異形成 (dysplasia) とは、HPV (皮膚や粘膜に感染するウイルス) 感染によって、子宮頸部 に起きる異常化した細胞のことです。この異常を引き起こすウイルスはごくありふれたもので、性交渉の経験があれば、ほとんどの女性が一生に一度は感染するといわれています。細胞の異常の度合いが軽く、数も少ない場合 (軽度異形成) は、約90% の人が自分の免疫力によってウイルスを消失させるので、治療の必要はありません。しかし、約10% の人がウイルスを排除できずに、感染を長期化 (持続感染) させてしまうことがあります。細胞の異常の度合いが高い、中等度異形成や高度異形成まで進行すると、中等度異形成の一部と高度異形成の多くは、自然に消えることはなくなります。この段階の細胞は “前がん病変” と考えられます。この状態までに発見して治療をしないと、子宮頸がんに進行する可能性があります。

異常な細胞の程度によって、異形成は次のように分類されています。

  • 軽度異形成 (CIN1) : CIN はCervical Intraepithelial Neoplasia の略語です。子宮頸部の細胞のなかで、異常化した細胞の割合が3 分の1 程度の場合を軽度異形成といいます。この段階の細胞は、中等度や高度異形成に比べ、はっきりと異常には見えません。女性6 人のうち1 人は軽度異形成になると考えられています。一般的には、その人の免疫力によって自然に消えるので、治療の必要はありません。
  • 中等度異形成 (CIN2) : 軽度異形成の段階でウイルスを排除できず、感染が長期化してしまうことがあります。子宮頸部の細胞のなかで、異常化した細胞の割合が3 分の2 程度の場合を中等度異形成といいます。
  • 高度異形成 (CIN3) : 子宮頸部の細胞のほとんど全てが異常、または前がん状態に進行した状態を高度異形成といいます。この段階では、軽度や中等度の異形成と比較すると、はっきりと異常に見えます。25 人に1 人の女性が中等度異形成以上の状態になると考えられています。


Q

異形成になるリスクが高いのは、どんな人ですか?

A

高リスク型HPV が異形成を引き起こす主な原因ですが、HPV はありふれたウイルスなので、性交渉をしたことのある人なら誰でも異形成になるリスクがあります。

さらに、次のような要因が、HPV 感染から前がん状態 (後に子宮頸がんに変化する) を引き起こすリスクを高める可能性があります。

  • 1938 年から1971 年の間に、多くの女性に流産抑止剤として投与された薬剤、ジエチルスチルベストロール (DES) に胎内で感染していた場合 (DES は、1971 年まで日本でも一般的に使用されていました) 。
  • クラミジア、または2型ヘルペスウイルスに感染している場合。
  • HIV / AIDS などにより、体の 免疫機能 が落ちている場合。
  • 喫煙をしている場合 (免疫機能を低下させます) 。
  • 葉酸値 (ビタミンB 型) が低下している場合。


Q

異形成の症状は、どのようなものですか?

A

異形成には症状がありません。検診をしなければ、発見することは困難です。 腟からの出血があったり、背中に鈍い痛みを感じるなどの症状は、子宮頸がんがかなり進行した場合に見られることがあります。ただし、こうした症状は他の理由で起きている場合もありますから、まずは専門医に相談してください。



Q

異形成は、どのように診断されるのですか?

A

異形成には症状がありません。そのため大切なのは、定期的な子宮頸がん検診 によって見つけることです。細胞診の結果が明らかに異常な場合、または米国ではHPVに持続感染している (HPV 検査で2 回連続陽性) 場合、 コルポ診 と呼ばれる精密検査を行います。コルポ診で異常があれば、異形成の有無、また治療の必要性を診断するために、子宮頸部の組織を採取する検査 (生検) を行うこともあります。

ただし、コルポ診の結果、異常がない場合も、定期的な子宮頸がん検診 (米国では30 歳以上は細胞診とHPV 検査の併用) を受けることをお勧めします。HPV 感染がまだ持続している場合や、細胞診の結果が異常だった場合は、コルポ診の再検査を行います。



Q

異形成の治療法とは、どのようなものですか?

A

異形成の治療法は程度によって異なります。軽度異形成は、多くは治療をしなくても自然に消えます。しかし、持続感染する場合もあるので、通常は6 ヶ月ごとに経過観察します。

感染が長期化した場合、中等度異形成の一部と高度異形成の多くは、自然に消えることはありません。異形成の治療法には一般的に次のようなものがあります。

  • 円錐切除術:
    子宮頸部の異形成を円錐形に切除する方法です。LEEP 法 (ループ式電気円錐切除) が最も広く使われている方法で、細いループ状のワイヤを使って異常な組織を切除します。施設によっては外来治療 (日帰り手術)、局所麻酔ですむ場合もあります。メスやレーザーを用いた切除法もあります。日本では、一般的にこの方法が用いられています。

  • レーザー療法:
    細いレーザー光で異常細胞を蒸散させます。治療の範囲や深さを精密にコントロールできます。

  • 凍結療法:
    異形成部分を凍結させ、組織を破壊します。

中等度異形成では通常は経過観察となり、高度異形成は多くの場合、治療を行います。異形成で治療した場合は、ほぼ完治します。



Q

異形成は、妊娠に影響がありますか?

A

異形成も治療も、妊娠そのものには影響はありません。しかし、円錐切除術 を受けた場合、早産、帝王切開、低出生体重児などのリスクが増えます。将来、出産を希望する場合は、主治医によく相談してください。